人間環境大学

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【心理学科コラム】子どもの見ている世界

子どもの見ている世界

 ある3歳の子どもが,母親に「将来何になりたい?」と言われると,「メロンになりたい」と話したそうです。そのとき,母親は心の中で,「えっ,メロンになれるわけないでしょ」と思いながらも,「どうしてメロンになりたいの?」と聞くと,その子は「だって,メロンおいしいんだもん」と答えたそうです。そして,母親は「おいしいから,メロンになりたいわけね」と伝えると,その子は「うん,みんな好きでしょ」とほほ笑んだそう。その他にも,同じくらいの年齢の子どもは「将来,ウルトラマンや仮面ライダーになりたい」,「お姫様になりたい」と本気で言ったりします。このように,なりたいものになれたり,お化けがいたり,と自分の空想の世界やお話の世界が,本当にあるように信じる世界に子どもは生きています。

 しかし,最近,子どもが大人のように正しさを求めてしまい,子どもらしくなくなっていると言われています。たとえば,「サンタさんはいますか?」と質問をすると,「あれはママやパパだよ」や「サンタさんはフィンランドのサンタクロース村に居る」などと答えたりします。これは,サンタさんが何者であるのか,どこにいるのか,という意味では,とても"正しい"解答と言えるかもしれません。また,ある年齢を過ぎれば当然と思われる現象です。ですが,何となく寂しい感じがします。"サンタさん"という言葉から想像することができるいろいろなことが抜け落ちている感じです。それは,「サンタさんはどんなプレゼントを持ってくるかな,自分の願いをわかってくれるかな」というワクワク感や「サンタさんは,よい子にしていないと来ないけど,本当に来てくれるかな」といったドキドキ感などの気持ちや思いを巡らせる体験です。

 最初に述べたように,子どもの見ている世界は,空想やお話が本当にあると感じられる世界です。つまり,思っていることや感じていることといった体験が中心にある世界と言えます。正しさが求められる世界ではなく,子どもが見ている世界のように"体験を中心"に世の中を見てみると,少し豊かな世界が見られる気がしませんか。

7/7(日)にオープンキャンパスを開催します。今回は,「子どもの遊びと心理学」をテーマに体験セミナーを実施します。ぜひご参加ください。

(心理学科・教員)

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