2019/06/01 心理学科
「虹の色は何色ですか?」と尋ねられると、おそらく多くの人が「7色」と答えるのではないでしょうか。「七色の虹」という表現がありますが、日本では一般的に、虹は赤・橙・黃・緑・青・藍・紫の7色と認識されているようです。しかしながら、虹の色の数や認識される色の種類は文化によってさまざまであることが知られています。
世界を見てみると、虹の色の数は一般的にアメリカでは6色、ドイツでは5色とされています。さらには3色、2色とする文化圏もあるということが知られています。このように、文化の違いによってものの見え方に違いがあることは、意外と知られていないように思います。
そもそも虹の色は連続体 (グラデーション) であって、明確な色の境界線はありません。つまり、虹をどのように"見るか"というのは、どのように虹を"とらえるか"ということなのです。そのため、虹の色の見え方には多様性がみられるのです。
ところで、日本語には色を表す言葉がとてもたくさんあります。例をあげると、青色に近い色には群青色(ぐんじょういろ)、紺青色(こんじょういろ)、瑠璃色(るりいろ)などがありますし、ほかにも青色に近い色を表す言葉は多く存在しています。もしこれらの色名がなければ、青色に近い色はすべて「青色」とまとめて認識されるのではないでしょうか。言い換えると、その色を表す言葉があるということは、わたしたちがそれらの色をそれぞれ異なる色として"とらえる"ことができるということです。
さて、写真の虹を見てください。あなたには虹が何色に見えますか?虹は決まった色で構成されているものではありませんので、この問いに対する正解はありません。つまり、どのような色に見えてもよいのです。それでは、もしあなたには虹が7色に見えるなら、あなたはなぜ虹を7色に見てしまうのでしょうか?物理的には全く同じ虹を見ているのに、見え方(とらえかた)が違うというのはどういうことなのでしょうか?
心理学は身近なところにあります。
ぜひ、雨上がりに虹を探してみてください。
(心理学科 教員)