人間環境大学

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【心理学科コラム】更新しました。

 こんなネズミは実際にはいませんね、たぶん。見世物としてこんな格好をさせられたとしても、人間さながらに誇らしげに旗を持つというのは、ネズミくんにはなかなかできる芸当ではないと思います。

 もちろん多くのファンタジー作品で、体の小さいネズミが勇ましく戦うという描写や、人間のように会話し行動する場面が見られます。作り話だからなんでもあり、と言ってしまえばそれまでなのですが、その"なんでもあり"を、今回、テーマとして取り上げてみようと思います。つまり、人間の心というものは、わりと"なんでも"想像できてしまいます(経験や知識、空想好きかどうかなどで、個人差はありますが)。例えば、深海の暗闇とか、銀河系のはるか彼方とか、地球の裏側を歩いている人々とかを、わたしたちはそこに行かなくても、どんなものか、ぼんやりとでもイメージできます(ちょっと想像してみてください)。そう思うと、一見ちっぽけな人間の体の中に、深海や宇宙が入ってしまうくらい深くて広い心というものが入っているような気がして、なんだか不思議な感じがしませんか。空間的な広がりだけではありません。恐竜が歩き回る太古の世界から、何世紀も先の未来まで、時間的な広がりも、人間の心は想像します。また、そうした現実的な時空間だけではなく、ありえないと知っているもの・・・例えば剣と旗を持ったネズミとか、火を噴く竜とか、・・・まで想像できてしまうのが、人間です。理屈に規定されない無限の想像たちが、わたしたちの心の中に住んでいる可能性があるのです。

 こうした心の広がりや無限の可能性は、自分が見聞きできる現実にしか意識を向けなかったとしたら窮屈にならざるを得ないわたしたちに、解放感とあそび(遊びというだけでなく余裕という意味でも)、新しいものの見方を与えてくれます。こういうネズミを一匹心の中に住まわせてみたり、宇宙旅行に出かけてみたり、自分でない誰かになってみたり、そんな想像力が、案外、人間の助けになってくれているのではないかと思います。(心理学科 田中)

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