人間環境大学

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【環境科学科コラム】更新しました。

「あっ,サル!」偶然,野生動物と出会うとうれしいでよね。でも写真を撮ろうとカメラを探していたりすると,「あっ,待って,まだ撮ってな・・・」という間にいなくなってしまいます。そんな時,「あの個体にもう一度会うにはどうしたらいいんだろうか?」,「あの個体はどこで暮らしているんだろうか?」,「あの個体はブドウを食べていたから,もうここには来ないでほしいな」,「どうやったらあの個体を捕まえられるんだろうか」など,よくもわるくも個体の行動や暮らしが気になってくることがあります。では,どうしたら個体の行動や暮らしを調べることができるのでしょうか。

 個体の行動や生活を調べる方法で,最初に思いつくのは,動物をひたすら追いかけて観察する方法かと思います。研究者の中には,この方法で調査をする人もいます。例えば,ニホンザルの場合,日の出から日の入りまで群れの後ろをついて歩き,そこで何を食べたかやどのような行動があったかを記録しています。ですが,この方法はなかなか大変で,かなりの気合と根性が必要です。このような中,動物に電波発信器や,位置や加速度などの測定器を装着して追跡する方法が発展しています。電波発信器の場合,電波が出ている方向をたどっていけば動物のいる方向が分かり,いずれその個体にたどり着くことができるというわけです。このような技術を使うと,同じ個体がどのように移動しているのか,どんな暮らしをしているのかを,調べることができるのです。

 私(立脇)の研究室では,岡崎市と共同で野生のニホンザルに電波発信器やGPS付き首輪を装着して,岡崎市内のニホンザルの行動域や行動域内の利用状況,移動経路を明らかにしています。電波発信器を付けた同じ個体を追跡していると,以前はいなかった小さなコドモを連れているようになったり,季節によって利用環境が異なったりと暮らしぶりがよくわかります。また,ニホンザルの群れと群れの間には,超えてはいけない境界線のようなものが浮かび上がってくるなど,ニホンザルの暮らしが垣間見えます。調査で得られたデータは,他の自治体と同じように,農業被害の低減や共存のための仕組みづくりの基礎データとして活用される予定です。

 さて、次回、7月21日(日)のオープンキャンパスでは、環境科学科の体験セミナーを私(立脇)が担当します。この体験セミナーでは野生動物の行動調査法について紹介するとともに,その一つである電波発信器を使用したラジオテレメトリ法を体験します。もしかしたら,大学周辺にいるニホンザルの電波もとれるかもしれませんよ!暑いことが予想されますが,雨が降らなければ外に出て実習しますので,動きやすい服と靴でお越しください!雨が降ってもお楽しみいただけるよう準備して,みなさんのご参加をお待ちしています。

(環境科学科 立脇)

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