2025/11/14 お知らせ
ポイント
● ドローン(UAV)を使い、森林の環境への貢献を貨幣価値に換算できる新しい方法を開発。
● 樹木の太さ(胸高直径:DBH)を現地で測らなくても、森林の炭素吸収や大気浄化の力を評価可能。
● ヤマハ発動機株式会社との共同研究で、持続可能な里山管理と地域資源の見える化に貢献。

概要
環境科学部の江口則和准教授、谷地俊二准教授、平山高嗣教授らの研究チームは、ヤマハ発動機株式会社と共同で、ドローンで撮影した森林データから森林の「環境価値」を算出できる新しい評価モデルを開発しました。
森林は二酸化炭素(CO₂)を吸収して地球温暖化を防いだり、空気をきれいにするなど、さまざまな働きをしています。これらの働きは「生態系サービス」と呼ばれますが、従来の方法では木の太さ(胸高直径=DBH)を一本ずつ測る必要があり、時間と労力がかかっていました。
本研究では、ヤマハ発動機のドローンに搭載されたレーザー測量装置(UAV-LiDAR)を使い、空から木の「高さ」と「枝葉の広がり(樹冠径)」を測定することで、木を切らず・触らずに環境価値を推定することに成功しました。
愛知県岡崎市にある本学演習林で実施した実証実験では、特に「大気汚染物質の除去」について高い精度で評価できることが確認されました。
この研究成果により、現地調査の負担を大幅に減らし、地域の森林の「環境価値」を誰でも簡単に測れるようになります。これにより、自治体や企業、地域団体などが森林の新たな価値を活用し、里山の保全や地域活性化に役立てることが期待されています。
本成果は国際学術誌 Landscape and Ecological Engineering に掲載されました(2025年10月8日公開)。
論文名:Monetary valuation of tree ecosystem services using i-Tree Eco and UAV: development of a model eliminating the need for DBH data
著者:Norikazu Eguchi, Shunji Yachi, Takatsugu Hirayama, Eisaku Seguchi, Jun Yajima掲載誌:Landscape and Ecological Engineering(Springer, 2025)
DOI:https://doi.org/10.1007/s11355-025-00690-5
