2017/09/10 環境科学科
最近、学生と一緒にビオトープ管理士資格の取得にむけた勉強をしています。
本学ではこの9月から「環境サークル水と緑」というサークルが立ち上がりました。ビオトープを作ろうという目標のもと、多くの学生が集まりました。ビオトープとは、生態学辞典によると「特定の生物群集が存在できる条件を備えた地理的な最小単位」というものです。ざっくりいうと、川、池、森といった私たちが「自然」と呼んでいるものや、田んぼのような「二次的な自然」がビオトープに該当するようです。ありがたいことに、学生たちにより、この楽しそうなサークルの顧問に私を選んでいただけました。ただ、すぐに大きな問題に直面しました。顧問の私を含めて、そもそもビオトープについて誰も専門的な知識をもっておりません。そこで、今年度はビオトープを作るにあたり、心構えや基礎知識を学び、実際に作る際の計画や施工の技術について、顧問の私も学生と一緒に勉強させていただくことになりました。
私の研究の大きなテーマは、農薬の使用と自然環境の維持について、よい付き合い方を考えることです。私が普段行っている研究は、水田で農薬を使った際の隣接する河川のいきものへの影響や、河川に農薬が流出した際の河川水中濃度の推定などです。よって「農薬を使う」という前提からものごとを考えています。そのため、なんとなく生き物に優しそうなイメージをもつビオトープを作ること自体、最初は自己矛盾に陥るのではないかと心配でした。ただ、勉強してわかり始めたのですが、ビオトープは必ずしも完全な無農薬の環境を対象としているものではないようです。教科書によると、人間の働きかけによってつくられた場所であっても、その場所で自律的に繁殖する種によって持続的な関係が成立していればビオトープと呼べるようです。つまり、田んぼにおいて、ほどほどの程度で農薬を使う分には生き物への影響は少なく(と仮定)、そうしたらその空間(ここでは田んぼ)もビオトープと呼べるようです。後付けにはなりましたが、ビオトープを作ることは、私の研究テーマにたいへん有意義な情報を与えてくれそうです。
ビオトープ管理士資格の試験は9月末です。本日も(ほぼ毎日)学生と楽しく勉強しております。資格の取得はもちろん第一の目標ですが、この勉強を通して学問の奥深さや楽しさを、学生と共有していきたいと思います。
環境科学科 谷地