2017/07/13 環境科学科
思い浮かべて下さい.川の水は濁りもなく透明で澄んでおり,不快な臭いもありません.
この川は,いかにも"きれい"と呼べそうな川ですね.
ただし,よく見ると,魚どころか,生物の姿が見えません.
なぜでしょうか.
原因を考え,適切な分析を行うことで,その答えに近づいていくことでしょう.
今,目の前の環境がどうなっているかを正確に知ることこそ,環境問題の解決,もしくは環境問題を発見する第一歩です.
現在では,分析機器は高精度化される一方で,その操作は簡易に行えるよう,各企業によって工夫が成されています.そのため,誰もが簡単に環境試料を測定することができるようになったと言えます.このことは,"環境問題の解決,環境問題の発見において,まずは環境の現状を知ること"であることからすると,望ましい社会になった訳です.
とはいえ,環境試料の取り扱いについてあまり知識のない人が,ザバザバと川に入りこみ,バケツで川の水をすくい上げ,水道水でよく洗ったペットボトルにその河川水を入れ,常温で実験室に持ち帰って,高度な分析機器を使って得た値は,どれほど信頼性があるものでしょうか.
このように書くと,上記のような過程では,水質分析においてはダメな方法なのだ,という感があるかと思いますが,それぞれ気をつけるべき点に注意して適切な作業を実施すれば,測定項目によっては,ある程度の精度を保った測定が可能です.
ただし,注意点を知らなければ,適切な作業を実施できなければ,やはり何を測定しているの?という値を得ることになります.
分析機器は高性能で,しかも分かりやすいマニュアルとともに操作も簡単.
でも,それを使って得られる値が正確と言えるかどうかは,機械の性能だけの問題ではない,ということに注意が必要です.
この,環境の今を知るために行う分析,特に化学分析において,正確に分析するためにはどのような点に注意して作業を行うべきかといった知識と,その技能をしっかりと身に付けることができるのが,人間環境大学 人間環境学部 環境科学科 物質循環領域です.
その教育の一端を体験できるのが7月23日のオープンキャンパスです.
写真の原子吸光光度計を利用した水質分析を通して,環境や分析にまつわる様々な話題について参加者と考えます.
オープンキャンパスでお待ちしております!
(環境科学科 藤井芳)