人間環境大学 松山看護学部 看護学科

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開設記念スペシャル対談

地域医療の未来に向けて 愛媛・松山にあたらしい看護学部を創る ―教員からのメッセージ―

人間環境大学が、愛知県で培った最先端の看護教育実績を最大限に活かし、新たに平成29年4月より四国・松山にてスタートする人間環境大学 松山看護学部。本学部が育成を進める「これからの日本を支える看護師」とは、従来の医師と看護師の関係を超え、医師の指示に従うだけではない自立した高い知識とスキルを兼ね備えた看護師です。そのような人材が求められるのも、日本が抱える代表的な社会問題「少子高齢化」をはじめ、特殊な地域特性の中での「地域看護」や「訪問看護」、訪日外国人への対応やグローバルでの活躍を目指した「国際看護」など、看護師を取り巻くニーズが刻一刻と変化しているからです。そういった10年後、20年後にスタンダードとなる看護スキルをいち早く身につけた人材を育成するのが本学部の目的となります。今回は、現在の看護師をとりまく状況とこれからの時代に求められる看護師像について、Adler Collins 慈観先生(国際看護学領域)、門脇先生(母性看護学領域)、中島先生(基礎看護学領域)にお話を伺いました。

聞き手:人間環境大学副学長 芦田 宏直

(写真 左から右)

教授 Adler Collins 慈観
看護師、ヒーリング・テクニカルディレクター
博士(教育学)
英国国立バース大学大学院博士課程修了。平成12年来日。僧侶。福岡県立大学看護学部講師、福岡県立大学付属研究所ヘルスプロモーション実践研究センター准教授歴任。専門は国際看護学。
教授 門脇 千恵
看護師、助産師
修士(臨床教育学)、博士(臨床教育学)
神戸市看護大学助教授、愛媛大学医学部看護学科教授、広島国際大学看護学部教授を経て現在に至る。専門は母性看護学。
准教授 中島 紀子
看護師、保健師
学士(看護学)、修士(看護学)、博士(医学)
日本赤十字看護大学卒後、松山赤十字病院看護師。愛知県立看護大学助手、愛媛大学医学部看護学科助教。愛媛大学医学系研究科医学専攻修了後、現在に至る。専門は基礎看護学。

現在、看護のあり方や方向性は大きく変わってきています。これまでの看護教育とこれからの看護教育で、最も変わらなければならないのはどういうところだとお思いになりますか?

現在の日本は、少子高齢化が進み、超高齢化社会になっています。平均寿命が延び、健康寿命が延びると、疾病構造が大きく変わり、社会の医療ニーズも変わってきます。そうすると、これに対応するケア、看護が必要になってきますよね。これまでは急性期医療が中心でしたが、これからは慢性期医療や後遺症を持つ人へのリハビリテーションケアが重要になってきます。また、国の政策でも推進されている在宅医療のニーズも大きくなってきます。これからの看護教育は、高齢者ケアや在宅ケアにウェイトを置くものになっていくべきだと思っています。また、グローバル化がますます進み、外国の方との連携が当たり前の世の中になっていくでしょうから、国際看護学もしっかりと教育していくべきでしょう。

看護学部では、必修科目が多く約7割が指定科目です。基盤看護学から小児、母性、成人看護学などひと通り学習していかなければならないカリキュラムの中で、高齢者看護や在宅看護を強化するためにどのようなプログラムがあるのでしょうか?

もちろん、看護教育全体が高齢者・在宅看護に特化するわけではありません。人間の成長発達に応じた看護学に加え、精神看護・統合看護もしっかり学びます。その中で、これからの時代で直面することの多いであろう高齢者・在宅看護について、授業内で意識付けを行っていくということです。また、看護の学びにおいて非常に重要な臨地実習でも、それらに重点を置いた指導も実施します。例えば、実習機関として提携している施設のひとつに、南予の訪問看護ステーションがあります。ここでは、高齢化率の高い山間部に住んでいる方の在宅ケアを行っています。また、在宅終末期医療の現場として専門病院や在宅訪問診療所の臨地実習を行います。更に島嶼部の地域医療では、瀬戸内海の巡回診療船として船上で診療を行う「済生丸」とも提携しています。これらの現場は、地域に密着して人々に寄り添う医療を行っている最前線ともいうべき施設です。実は愛媛県は、全国的に見ても看護師の離職率が高い地域です。現場では、一人でも多くの優秀な看護師が切実に求められています。大きい総合病院から地域のかかりつけ医へ、という医療の流れがあるなか、こうした地元密着型で専門性の高い医療機関で実習を行うことで、「地域に根ざす看護師」を育成していきます。

訪問看護や地域看護の現場では、看護師自体の質の高さも非常に求められますね。時には医師不在のなか、自分の判断で処置を行わなければならない場面もあり、ある程度高度な医学知識も必要になってくると思うのですが。

そうなんです。例えば助産師は、産婦人科の医師から自立して自分で妊産婦さんの診察や処置をすることができる、ある意味では看護の中でもスペシャリストです。今後はベテラン看護師でなくとも、大病院で医者の指示のもとで動くだけではなく、自分の判断で問題解決ができるような存在になるべきです。看護師は、「治療」と「生活」の両面から患者さんやその家族をとらえ、必要なケアを提供する職種です。その役割をさらに発揮するため、より高度かつ専門的な知識・技能が必要とされる特定行為の研修制度も推進されています。本学では医学的知識の強化のために有能な非常勤講師を迎え、看護にとって必要な疾病論講義を行っていきます。きっちりと身につけた医学的知識は、これこそ、大学で看護を学ぶ意義のひとつだと思います。

でも、それほど高度な知識を学んでいくとなると、不安になってしまう学生もいるのではないですか?

もちろん、そこもしっかりサポートしていきます。本学ではメンター制を導入しています。クラス担任をイメージしていただくとわかりやすいかと思いますが、学生が有意義で充実した大学生活を送れるよう、専任教員が学習・進路面だけでなく、生活の悩みも含めて精神面でもサポートしていきます。特に初年度は、学習の仕方や内容はもちろん、例えばこの授業のここが不安だ、勉強と生活、アルバイトの両立が難しいなど、さまざまな悩みを抱えがちですよね。あるいは3・4年次、進路や将来のキャリア形成に迷うこともあるでしょう。メンターは4年間を通じて、時には寄り添い、時には離れたところから客観的に見ながら、学生を手厚く支援していきます。

看護教育では、最終的に看護師国家試験の合格が目標となりますよね。その対策・サポート体制はどのようになっていますか?

国家試験100%合格を目指して、「国家試験対策室」の設置を予定しています。4年次の試験合格に向けて、一人ひとりの授業内容の定着度合や弱点科目、クリアするべき課題を1年次から把握し、徹底的に対策を講じます。教員同士が連携をとりながら、履修指導や集中講義、模擬試験など万全の体制でサポートします。しかし、看護教育において最も大切なこと、すなわち目指すべきゴールは、資格合格ではありません。資格を持っているからといって看護師が務まるわけではありません。病気や怪我で不安になっている患者さんを救うのは、「治療」だけではなく、適切な処置を行いながら、患者さんやそのご家族の生活を考え、尊厳を重んじ、不安に寄り添い支える。それが「看護」です。医学的な知識と技能を身につけることはもちろん、あらゆる環境から自ら学び、それを実践していく力、看護師に必要とされるコミュニケーション力や心構えもしっかりと指導し、患者さんやご家族を支えられる強い精神と自信、情熱を持った看護師を育成していきます。

先ほど、愛媛県は看護師の離職率が高いというお話がありましたね。そこには職種や職場のミスマッチもあるかもしれません。キャリアデザインの形成や就職先のマッチング、卒業生をサポートする体制はあるのでしょうか?

本学では、1年次前期からキャリアデザインのための科目があります。早期から将来のキャリアを自覚することで、看護職として必要な接遇を理解し、医療専門職業人としてのマナーを意識して行動できるようにします。また、看護を学び自分のキャリアを考えていく中で、看護師として現場に出る以外の道を見出す学生も出てくるかと思います。資格・就職人気が高まっている保健師や、女性と命の誕生を支える助産師になりたいという学生がいるかもしれません。大学内でさらに研究したいと思う学生がいるかもしれません。これはあくまで可能性の話ではありますが、看護のスペシャリストになるべく勉強できる大学だからこそ、あらゆる道に進むこともできます。可能性がひとつではなくいくつもあるということは、キャリアのミスマッチを防ぎ、ひいては早期の離職を防ぐことにもつながるでしょう。そういった進路の悩みをきめ細かくフォローしていくのが、先ほどお話ししたメンター制です。また、「就職支援室」も設置し、それぞれの希望に沿った就職先を見つけられるようにアドバイスしていきます。加えて、卒業生のフォローも行っていきます。看護の現場等で働く卒業生に対して、大学側はキャリアアップの状況を見守っていき、いろいろと相談にのります。また、卒業生と在学生の関係性を築いていき、大学の校風を構築するつもりでおります。